13

1313
ナサニエル・ラッケンメイヤー,早野 依子

ダイヤモンド社
売り上げランキング : 1086630

Amazonで詳しく見る by AZlink

日本語だと13という数字を怖がる人はほとんどいませんが、迷信やデマなどの広がり方や、浸透の仕方などを知ることが出来ればという意図もあって読みました。
以下は、僕は読んでて面白かった部分です。


■13が不吉とされたのはいつ頃か

まず最初に13という数字が不吉であるという意味を持ち始めたのは19世紀の中頃になってからであり、それまで13は6番目の素数として順当な扱いを受けていることを説明しておく。
なぜこの時期から13という数字が意味を持ち始めたのはどうやら新聞やラジオなどのマスコミ媒体の発達と同期しているようだ。


■13が不吉な数字として選ばれたのは何故か
そして、諸説ある。一番有力なものは「最後の晩餐」にちなむものであり、12人のキリストの弟子とキリストの13人で食卓を囲んだ翌日にキリストが処刑された逸話から、「13人で食事をすると、近い内にその中の1人が死んでしまう
」という迷信が出来上がった。
それが転じて13という数字自体に不吉な意味が付与され始まったというのが著者の意見(正直、本書のここらへんの説明は甚だ怪しい)

なお、諸説を言ったが、他の説とはいえば
・両手の指と足の数を足した、12という数を超える数であり、理解を超える数字として忌避された説
北欧神話が起源説(天国に来た13人目の神が暴虐を尽くしたというエピソードから)
テンプル騎士団が由来説
・中世、魔女狩りにあった異端の信者たちは13人で行う儀式を行っていた説

いづれも文化的なつながりや、時系列的な根拠に薄く、オカルト扱いである。

ただし、タロットカードの13番が死神であることだけにはやや説得力があるようだ。ルネサンス期にはかなり多様なタロットカードが発行され、カードのナンバーと絵柄、役割が統一されていなかったが、唯一13と死神の組み合わせだけはどのカードセットでもそのつながりは強固であった。
ちなみになぜ死神(Death)が13番かは謎である。



■オカルトに対するキリスト教
13を不吉とするのはキリスト教圏内に多数であるが、キリスト教は13を不吉とするのは神への冒涜であるとしている。
理由は「神の奇跡」を勝手にでっち上げている、いわば「習慣の偶像崇拝」にあたるため。
キリスト教が公式にアナウンスしていない13を忌避する感情は「過剰な信心」として控えるべきだとされている

ちなみに墓地を怖がったり、バレンタインデーを祝う慣習も同様の「習慣の偶像崇拝」としている。
ちなみに、キリスト教では「悪いことは3倍になって帰ってくる」という考え方があるため、3倍返しが通例となっているホワイトデーなんていう日の存在を鑑みても、バレンタインデーという行事が持つ魔性には疑問が付されてしかるべきだと言える。


□王様がいた。
20世紀初頭のアメリカには「13クラブ」と名乗る、13という数字を茶化して遊ぶ社交クラブが存在した。大統領経験者が3人いたり多数の政治家、ジャーナリストなどが参加する由緒あるクラブであったが、その会の最後の会長を務めたジョン・F・ホッブズは国王の肩書きを持っていた。
どういうことかというと、オーストラリア付近の原住民が住む島に難破したということで、そこで西洋式の武器や知恵を住民に教えたところ、入れ知恵をした部族が島を制覇してしまい、その原動力となった彼の知恵には経緯が表され、彼は王様になったとのことだった。
13? 関係無いね。でも本当らしいよ。


13日の金曜日を英語で書くと。
16日の月曜日は Monday, the 16th であり、
2日の日曜日はSunday, the 2nd。
しかし、13日の金曜日だけはFriday the 13th。
カンマ[,]が無い。これは13日の金曜日がそれ自体ひとつの意味の言葉として特別扱いを受けていることを示している。新聞の表記からカンマが無くなったのは1906年から1908年の間に激減していった。13日の不吉な金曜が市民権を得たのは、まさに20世紀の初頭であった。


□映画「13日の金曜日
ジェイソンが出てくるこの映画の題名はもともと「血に塗られたキャンプ場の長い夜」だったが、プロデューサーが映画化に当たって「舞台が13日の金曜日であることにしよう」としたため。映画のストーリー上で13日であること、金曜日である必要は無い。


□13F
米国の大手建設会社、建築事務所100社に問い合わせたところ、半数以上の企業が、半数以上の建築物から13階をなくして建造しているとの返事が出ている。これは現代の話だ。


13日の金曜日の交通事故
イギリスの保険会社の調査によると、13日の金曜日には交通事故による入院の数が52%上昇するという結果が出ている。うわさが真実に変わる瞬間である。


□変な大学
その歴史から、13という数字を縁起がよいものとして扱っていた大学がある。アメリカのコルゲート大学では生徒は13という数字を忌避することを禁じられている。


□アジアでは
一方アジアでは4という数字が忌避されていて、漢字を使う国では「死」に似た発音の「四」が忌避されるべき数字となっているのはご存知のとおり。特に中国では十四の「十」の部分が「〜しなくてはならない」という意味の漢字と発音を同じくしていて「十四」は「死ぬべきである」という意味に聞こえることもあり、特別に嫌われた数字となっている。