日常の疑問を経済学で考える

日常の疑問を経済学で考える日常の疑問を経済学で考える
ロバート・H. フランク,Robert H. Frank,月沢 李歌子

日本経済新聞出版社
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書名のまんまの本です。
もともと経済学は「合理的な行動とはどのようなものか」を考える学問です。
そしてこの本は日常の些末な疑問(ハーゲンダッツのアイスに1ガロンのサイズが無いのはなぜか)や、当然として考えている習慣(あんまりにぎわっているように見えない地方のお祭りがなぜ毎年開催されるのかとか)などに対して「合理的に考えられた説明」を行うという構成になっています。

たとえば「一夫多妻制は男性にとっての夢と言われるが、ほとんどの国で一夫多妻制は法律によって規制されている。法を制定するのは議会だが、男性議員が圧倒的多数を占めているような議会において一夫多妻制が決議されないのはなぜか?」という疑問を「公序良俗」という言葉を使わずに説明したりします。

結果はもちろん一夫一妻制が合理的であるという結論に達していますが、そのロジックに無理は無く、分かりやすく、納得ができる論理の結論です。他にもこういう疑問(なぜ、茶色い卵の生産コストは白いものと変わらないのに値段が異なるのか、とか)が100個ぐらい入っています。


■■おすすめです。
面白かったです。どうでもいいことに「なんでだろう」とか考えたりするのが好きな人は間違いなく夢中で読むと思います。翻訳がアレなので最初は面食らいますが、慣れれば内容は平易だし、数式とか出てこないし、短い話題が沢山入っている短編型の内容なので読みやすいし、おすすめ。ハードカバーなので新書よりはページ数がありますね。3時間ぐらい。


■■お金が出てこない経済学が沢山書いてあります。
経済学=お金の学問って思っている人だと期待と違うかも。そういう人は経済学じゃなくて経営学商学の本を読みましょう。フリーとかキャズムとか、マーケティングの本。「合理的に考える方法を見てみたい」っていう人なら間違いなく本書はぴったりです。


あ、あと洋書の翻訳なんで「日常的な疑問」の部分が”アメリカでの日常的な疑問”だったりします。むこうの文化とか風習に興味がある人でも良いかもしれません。