上司が、褒めるより叱る方が効果的だと考えるようになる過程。

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働き者のAさんがいるとする。
Aさんは毎日仕事をしているが、一日ごとの仕事の出来が通信簿のように5段階で評価されるとする。ランダム、Aさんは毎日ランダムで{1,2,3,4,5}の5段階の働きぶりを見せる。
4や5の成果を出した日は上司に褒められるが、1や2の成果しかあげることが出来なかった日は上司に叱られてしまう。3の日は褒めも叱られもしない。


こういうような場合、結論から言うと上司は「叱ることは効果的で、褒めるのは悪影響がある」と考えることになる。
なぜなら叱った次の日は成果が上がりやすく、褒めた次の日は成果が下がりがちだからである。


たとえば、2の評価を出して怒られた次の日、Aさんが2より良い働きをする確率は3,4,5の3パターン。ごぶんのさんで60%である。当然のことだが、ある日の働きが悪ければ悪いほど、その翌日に働きぶりが良くなる可能性は高まる。1の次の日はに生産性が上がる確率は80%にもなる。こっぴどく怒った次の日は働きぶりが向上しやすいということだ。
これは上司からすると「叱った次の日は働きぶりがよくなる」という印象になる。


逆に良い働きをした次の日は、働きぶりが前日より鈍る可能性が高まる。5をとった次の日はそれ以上の働きをすることが(この仮定では)出来ない。4の働きをした翌日に、前日より良い働きが出来るのは20%だ。
上司にすると「褒めた翌日は働きぶりが落ちる」と映る。


なお、「叱るより褒めた方が仕事のおぼえが早くなる」というのは教育学的にとっくに確立されてることで(*http://bit.ly/jHl91z)、前日だけでなく長期的に見ると褒めた方が学習能力は高くなる。

つまり、叱ってばかりいる上司は、前日のことは憶えていられるが、人の働きぶりを長い目で見定めることが出来ない人だと言える。


まぁ普段からプリプリしてる上司にこんなもの突きつけたらぶん殴られて終わりなんでしょうけど。