眠れぬ夜のひとりあそび

ずるずると起きていたらもう朝が近い。
そろそろ寝たいのだが、完全に体内時計が狂っているので、目は冴えるばかり。
そんな時、僕は諦めてメガミマガジンの美少女イラストを鑑賞して時間を潰すことにしているのだが、今さっき、御坂美琴に鼻の下をのばしながら、ふと我に返って思った。


今の僕には、モテる要素がどこにもない…


モテる人間というのは、佇まいからして何かが違う。モテと非モテは、些細なことであっても、日常のあらゆる行動に違いがあるのだ。恐らく彼等は、眠れない夜の暇潰しに関しても、何かしらかっこいいことをやっているに違いない。少なくとも、絶対にメガミマガジンは読んでいない。


僕は、夜眠れないモテ男が何をするのか考えてみることにした。お洒落は見えないところからである。



かっこいい深夜の暇潰し
1.ジャン=リュック・ゴダールの映画を見る
お洒落なサブカル小僧の憧れの的、フランスの映画監督、ジャン=リュック・ゴダールの作品を見る。深夜にゴダールの作品を見る、というスカした行為は、僕に何となく知的で文化的な雰囲気を纏わせてくれるであろう。
しかも、ゴダールの作品は基本的に退屈で真昼に見ていても眠くなるような代物なので、ついでに寝ることも出来て一石二鳥である。


2.欧州サッカーの試合の中継を見る
モテるスポーツの花形、サッカー。サッカーの本場と言えば欧州、そんな欧州リーグの試合の中継は、時差があるために深夜に行われる。深夜の欧州サッカーをチェックし、サッカーに詳しくなっておけば、ちょっとイカしたスポーツマンぶれる。
「あ、この選手知ってるわ、あの、スペインの、あっちの、あれ。知らない?そっかーまだ日本じゃそんな有名じゃないよねー」
次のワールドカップでにわかサッカーファンの女子が増殖した際、こんな小粋なサッカートークで尊敬されることが可能だ。しかし、そのためにはあと四年間昼夜逆転生活を続けねばならないという側面がある。


3.カクテルを作る
結構本格的なカクテルを自作し、夜景を見ながらグラスを傾ける。種類はマティーニ。BGMはビル・エヴァンスで、傍らには読みかけの村上春樹を置いておく。これは何となくかっこいい。
しかし、僕はあの小さい逆三角形をしたいわゆるカクテル・グラスを持っておらず、しかも家には「YEBISU」の文字と恵比寿さまの笑顔が刻印されたおまけのグラスしかないという問題にぶち当たるのである。



誰にも見られていない深夜に、こういうシャレオツな行為をするよう心がけていれば、気づいたら昼間にもカッコよくなっているであろうことは間違いない。
まあ真のモテ男ってのは、眠れなくても、隣で寝ている恋人の可愛い寝顔を見つめているだけで幸せになれるものなんだろうが…



カナサシ