アニメ

撮りだめたアニメを週末に一気に消化するのが、大切なストレス発散となっています。悪い傾向だが仕方ない。
先週と今週は、春アニメの第一話ラッシュでした。
最初だけは可能な限りチェックすることにしているんですが、三週目くらいにはもう三本くらいしか見てない状態になっている。そういうものです。

今期一番の期待株は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、通称あの花。『とらドラ』『とある科学の超電磁砲』などの長井龍雪監督の最新作にして、初のオリジナル作品です。主要スタッフの中には『とらドラ』と被ってる人も多いみたいですね。
主人公は普通の男子高校生。登校拒否児にして引きこもりで、楽しかった幼少時代を懐かしみながら、不満に満ちた日々を送っている。そんな彼の前に、幼いころに亡くなった幼馴染(美少女)の幽霊が、何故か成長した姿で現れます。
「昔私とした約束を果たせ、どんな約束かは忘れちゃったけど」とめちゃくちゃな要求をして主人公に付きまとう幼馴染の霊。戸惑いながらも、主人公の日常が変わったり変わらなかったりしそうな話です。



長井龍雪監督といえば、やはり表情の演技の細かさだと思います。
何かのインタビューで、「アニメータは演技者、つまり俳優なのである」と言っていましたが、言葉の通り、彼の作品のキャラクター(=アニメーターの描く絵)はたっぷり演技をしてくれます。例えば、キャラクターが何か気に障ることを言われたとして、「私は怒ったぞ」と言葉で返答するのではなく、表情を歪めることで返答する。しかも、通り一遍に眉をひそめるだけじゃなく、まず、「不快な言葉をかけられたこと自体に驚いた」ように目を見開いてから、「憎しが込み上げて」顔を歪めたりするような。そんな演出が多い。
アニメでは表情の変化一つ描くのも大変ですから、セリフで「私は怒ったぞ」言わせちゃうことが多かったりするんですがね。丁寧な作りであります。
そういう「絵に演技をさせる」演出は、『あの花』でも全開でした。


僕としても見応えがあって好きなんですが、もしこれを実写でやったら、と想像してみると、また感じが違ってくるなと思いました。長井アニメのキャラクターの演技は、ちょっと過剰なのです。ありていに言えば、大根演技。
先にあげた表情を不快そうに歪める演技にしても(第一話に実際にあった)、変化がちょっと分かり易すぎる。


アニメは、子供向けとして進化を続けてきた媒体です。子供は、年若いゆ故に人生経験というものがない。だから、子供に向けた表現であるアニメは、表情やセリフで、キャラクターの感情を「説明」しないといけない。
やはり、ある程度実際の人間関係の中で揉まれていかないと、前後の文脈を考慮して、沈黙が語る声を聞いたり、目に見える表情の裏側を推察したり出来ないですからね。尚且つ、多弁な沈黙や偽りの表情を作画するのは大変ですから、手抜きして「説明」しちゃう訳です。
まあそれが悪いとは思いません。
アニメのキャラクターデザインってのは、基本的にかなりデフォルメされていますからね。過剰なキャラデザと、過剰な演技は親和性が高い。キャラクターの感情が、嫌味なく、すっと入ってくるような気がします。
長井監督の表情演出は、実写映画的表現への接近というよりは、アニメ的表現を丁寧に突き詰めていった結果なのでしょう。


とりあえず、失速せずに最終回まで言ってほしいなーと思う次第です。
昨季期待していたフラクタルは、どんどんつまんなくなっていったので…